【お前ら】Anime Expo 2011で見たこと感じたことを日本のボカロPに伝え未来に繋げるスレ【必読ですよ】★完結版★


こんにちは、PENGUINS PROJECTです。
なんだかもう遠い夢の中の出来事みたいですが、
ロサンゼルスで開かれた「Anime Expo 2011」を訪れ、
イベント「みらいのねいろ -The Sound Of The Future-」に
出演させて頂きました!



超たのしかった・・・
おもしろすぎる・・・
日本からみんな来ればいいのに・・・


でも他のボカロPのみんなが迷う気持ちもわかります。


「お金はどーなるの?英語でしょ?」
「どれくらいお客さん来るのかわからないし・・・」
「トラブルに巻き込まれたりしないか不安だし・・・」


ですよねー


というわけで、本日のペンギン村役場は永久保存版!
Anime Expo 2011に日本から参加してボカロPとして
感じたことを、思うがままに報告してみたいと思います。


来年のAnime Expoから声がかかったボカロPさんが
「去年行ったPENGUINS PROJECTが情報をブログに公開してるから、
それを見てみたら、楽しそうだし安心だ!よし、行くぞ!」
と思って頂けることが、このブログ記事の目的です。ですので、日本在住のボカロPを対象にした記事となっています。


写真もいっぱい公開しちゃいますよ!
というわけでスタート!


1:Anime Expo 2011ってなに?
Anime Expo 2011(アニメエキスポ、通称AX)とは、毎年7月上旬に
米国ロサンゼルスのLos Angeles Convention Center
(ロサンゼルスコンベンションセンター、通称LACC)で開かれる
日本のアニメをテーマにした博覧会です。
主催者は「日本アニメーション振興会」というNPO団体です。
(Society for the Promotion of Japanese Animation=SPJA)
http://www.anime-expo.org/


LACCは、日本でいう幕張メッセやビックサイト級の展示ホールです。

AXはここを4日間貸しきって行われるイベントです。
今年は純人数で4万7000人、通しで12万8000人が来場。
いわばアメリカのコミケと行っても過言ではありません。


会場内はこんな感じ。すごい熱気です。


さて、この会場内には幕張メッセやビックサイト同様、
大小さまざまの施設があり、4日間のあいだ、
各所で多種多様なイベントが開かれます。
ボカロ、東方、けいおん!トーク、コスプレ、ライブ……
沢山あるイベントのうちのひとつが「みらいのねいろ」です。
では、「みらいのねいろ」について次の章でご説明しますねー。



2:みらいのねいろ -The Sound Of The Future-ってなに?
「みらいのねいろ -The Sound Of The Future-」とは、前述した
Anime Expoの会場で行われる、多数のイベントのうちのひとつです。
主催者は「Delusion Production House(通称DPH)」という有志団体です。


ここではあえて「同人サークル」です、
と言ってしまったほうが分かりやすいかもw


ここまでを超カンタンに説明してしまうと
アメリカのビックサイトでコミケみたいのをやっていて、
 その一角にPVとか上映できるイベントホールがあって、
 そこを日本から来た同人サークルが貸し切って企画やってる」
という状態です。いえーいシンプル。


Anime Expo 2011は7月1日-7月4日の4日間行われましたが、
このイベントは7月3日の夕方17時45分から21時にかけて、
2部構成で行われました。


前半が、日本から持ってきた新作PVの上映。
ボカロPがこの日のために新曲を書き下ろしてPVを送ったり
既存の曲に動画クリエイターが新しいPVを付けたものが登場したりと
いわばPVのフィルムコンサートだと思って下さい。
こちらは、ぼくも去年は「コバルトブルーの花嫁」で出たんですが
「ボカロPや動画クリエイターは日本にいて、コメントを送る」
という段取りになります。


後半が、日本からやってきたボカロPのトークセッション+PV上映。
2011年は「PENGUINS PROJECT」「ZANEEDS」「すんzりヴぇr」の3組と
動画クリエーターの「ゆうきP」
そして当日公開されたシークレットゲストとして
ヤマハ株式会社ボーカロイド開発責任者「剣持秀紀」氏が登場しました!



会場設営中@LP1 "NEIL PETREE HALL"
でかいでしょ!最大では3000人入ります。



記者会見場みたい。PVは両脇の巨大スクリーンで上映。



すごい入場列。最終的には700人程度参加して頂いたもよう。


とまあこんな感じです。
ボカロPのみなさま、
「Anime Expo」と「みらいのねいろ」の雰囲気、
なんとなくつかんでいただけましたでしょうか。


さて、ここからは実際に私が旅行したときの写真を元に
Q&Aを交えつつ楽しく振り返ってみようと思いますー!


3:で、ぶっちゃけどうだったのよ?


さあお待ちかね、旅行記形式のQ&Aです。



キイィィィィン
アメリカの大地に降り立つペンギン。


Q1:往復の飛行機代ってどうなるの?
A1:全額自己負担です。


「みらいのねいろ」参加者は、運営スタッフ&
出演クリエイター共に、飛行機代は自腹です。
覚えておいて頂きたいのが、Anime Expoは何事も
「AX主催者(SPJA)の直接招待(通称Guest of Honor)」
「AX出展の有志企画による招待(通称Guest)」の
二段階があるということです。

Guestは宿泊代は出ますが海外からの交通費は出ません。
まあ正直ここで二の足を踏むボカロPはすごく多いと思う。


ビジネスライクに考えるなら、AX主催やスポンサー、業界各社の招待
つまりGuest of Honorで呼ばれないと収支は合わないっすよね。
なので
「海外のファンとのふれあいを貴重な財産と考えられる人」
アメリカで作品を発表するために色々工夫をしたり、悩んだりしながら
チャレンジすることが、日本でのボカロ活動への先行投資になりえる人」
なら、自腹で行く価値があると思えるんじゃないかと思います。
今回参加したPたちはみんなそういうインディーな人たちです。


ちなみに、今回私はANAのエコノミークラスで8万円台でした。
早めに取るとけっこう安いけど、直前に取るとけっこう高い。
来年は燃料サーチャージが上がって高くなるかもしれないので注意。
成田空港からロサンゼルス国際空港まで、
行きは9時間、帰りは12時間くらい。時差はマイナス16時間。
楽しい空の旅でした。



到着早々ホテルへ移動。


Q2:宿泊費ってどうなるの?
A2:全額主催者負担です。(部屋代、州税等。ルームサービス等は不可)


宿泊費に関しては、Anime Expo主催の日本アニメーション振興会から
全額補助が出ました。従って、自腹とか立て替えの必要はないです。
(あくまで「企画申請をして許可が出れば」という前提ですが、
 昨年、今年と実績があるのでほぼ間違いないんじゃないかしら)


Q3:女性のPです。怪しい安ホテルとか手配されても困るんだけど…
A3:高級外資系ホテルだ、問題ない。


今回、スタッフと出演者が宿泊したのは
The Westin Bonaventure Hotel and Suites, Los Angeles
でした!


基本的にGuest of HonorもGuestも宿泊先は同格なので、
マスコミや芸能人が利用しても遜色のないホテルと思って下さい。
今年はWestinでしたが、他にもMARIOTTなどが近くにありますので
ブランドや立地は流動的なので好みに添えるかまではご勘弁を。


日本から来た公式ゲストの有名Pや、ボカロ好きなマスコミの記者さんや
関係各社のえらい人もこちらに泊まってましたw



レストラン完備(写真は朝食のビュッフェ)



部屋からの眺め(私は23階でした)



ロビー。非常に建築として価値が高いビルで、
ハリウッド映画でも多くの撮影に使われています。


高級ホテルでつかの間のワールドツアーロックスター気分をどうぞ!


Q4:海外ということで治安が心配……
A4:「ロスでは日常茶飯事(ry」って事はないのでおk


海外ということで、不安に思われるボカロPの方も多いと思いますが
空港-ホテル-AX会場の3点をタクシーで移動する限り、secureです。
(日本の治安は極端に良すぎるのでそれは期待しないでね)


その証拠に。


なんとアメリカでは、市街地でのコスプレが堂々と行われています。
多民族国家ですし、EasterやHalloweenの習慣が根づいているから、
ダウンタウンの真ん中をハルヒが歩いてようがまどマギがいようが
悟空やカオナシが歩いてようが大丈夫だ、問題ないです。
写真は遠慮しましたが、Westinのロビーもルカやミクだらけでしたw


タクシーやホテルの人も、Anime Expoが開かれてることは
当然把握してますし、WestinからLACCまではシャトルバスも出ます。
期間中のロスに関しては、どうぞご安心下さい。
(繰り返しますが日本じゃないですからね!)


Q5:ボカロPや映像クリエイターはアーティスト。アメリカまで行ったのに
反応サムかったら、母国日本でイメージが壊れるから困るんだ。大丈夫?



どーん

どーん


あくまで参考ですが、別の企画をやってるときに写真を撮れたので
会場内の雰囲気だけでも掴んでくださいませ。


3000人収容のホールで、前方1000人分くらいを使用
照明を落として、大規模スクリーンでPVを上映。
記者会見席みたいのがあって、そこに座ってマイクでしゃべる。


PAはオープニング、クロージングの企業向けレセプションなどと
同じスタッフが担当しますので、安心です。
以前はPVが流れない等の機材トラブルもあったようですが、
今年は大幅に改善されており、来年以降に期待が持てます。
実際に会場で大音量でPVが流れる「みらいのねいろ」本番を体感しましたが、
ミュージシャンとして自作PVの上映を許容できるレベルの音響クオリティでした。
さすがにライブハウスやクラブみたいに音楽を楽しむ目的で設計されていないので
どうしても企業プレゼンっぽい音響になったのは事実ですが、そこは今後の課題ですね。


で、一番気になるのは「行ったら歓迎されるのか?」ってとこですよね。


僕も正直な話、実際に行ってみたらこうなんじゃないかと心配してた。


しかし現実は違った。


ええ、あまりにも典型的な外人四コマの2コマ目。
白人、黒人、アジア系、人種や民族の違いを乗り越えて一体となる会場。
「ミクさんマジ天使!(Miku is truly an angel!)」と絶叫する人々。
ざにおの痛い煽りにちゃんと反応する優しさ。


いやでも、真面目な話、アメリカってディベートの国じゃないすか。
やっぱりこの国すげーなって思ったのは、ぼくは全部英語でスピーチしたんですけど
何を話してもちゃんとリアクションしてくれるんですよ。
「OH....」とか「I KNOW!」とか「YEAH! I LOVE IT!」とか。
もういちいちビバリーヒルズ青春白書ですよ奥さん。


これって、壇上で話す人間にとって、どれだけ有り難いか。


たぶんライブで演奏したりMCしたりした経験のあるボカロPの方には
あるいは人前で話した経験のある方なら、このありがたさは伝わるはず。


「話せば、拙くても、リアクションがちゃんとある。問いかければ返事が返ってくる」
これは保証されてます、アニメがどうとかじゃなく、アメリカの文化として。


だからむしろ頑張らなきゃいけないのは日本から行く僕らの方です。


ちゃんと自信を持って、英語でも日本語でも、堂々と自分の作品やボーカロイドに対する
愛を語りましょう。そうすれば間違いなく応えてくれます。


なので結論としては
「誠意を持って話せば、アメリカ人は盛り上げてリアクションしてくれる!
あとはあなたの話す内容と熱意次第です!」
ということです。


ちなみに「みらいのねいろ」では今年、
ミク・リン・レンのコスプレしたかわいい女の子が司会してくれました。
(ミクがアメリカ人で、リンちゃんレンくんがカナダ出身です)
あと、ふつーに日本語通訳もちゃんといるのでご安心を。


4:そういえば「MIKUNOPOLIS in LA」は観たの?


観ましたよ!


いちおう関係者ということで、現地にてありがたく拝見させて頂きました。
会場のノキアシアターが撮影禁止だったので、文章だけでのレポートになりますが、
そんなことよりもまずはTogetter読んだほうがいいかも(ブログの役割放棄w)


初音ミクLA公演現地組の情報まとめhttp://togetter.com/li/156564


初音ミク in LA、MIKUNOPOLISの感想まとめhttp://togetter.com/li/157069


はい、だいたいわかりましたね。
便利な時代ですw


改めて説明しておくと、会場のノキアシアターなんですが
LACCがビックサイトor幕張メッセなら、ノキアシアターは
東京国際フォーラムのホールAっていう表現がぴったりですね。
キャパシティは満席で7000席なんですが、今回は初音ミク
3D映像をスクリーンに映写して行うということで、
映像を鑑賞しやすい角度の都合から両脇の席を売ってません。
そのため満席で6000席くらいの作りになっており、
さらに最終的な主催者発表の確定数値では来場者5000名ちょい。


というわけで、現場にいた私からしても「満席」「SOLD OUT」
という表現はちょっと使いづらい感じだったんですが、
ただ客観的に見ても会場内が5000人で沸き上がっていたことは
まぎれもない事実です。


あとは、こういった海外公演で必ず取り沙汰される問題として
「現地組は少なくて日本からの遠征組が多かったんだろ」という
例の話題ですが、これはまったく当てはまらないですね。
今回ニコ生で日本からご覧になられた方が多いと思いますが
「日本人っぽい人が多いから遠征組が多かった」という
声については、アメリカという国の実情を考えてみてほしいです。
人種が多種多様で、特にロサンゼルスでは白人は全体の半分以下、
ヒスパニック・ラテン系がほぼ白人と同数という構成です(Wikipedia参照)
いわゆる欧米のイメージとはかなり異なっており、
あとでまた書きますが「人種のるつぼのなかの、非欧米系の方々」に
とりわけジャパニメーション的なものが受容されてるので
会場内は日本系・中国系・コリア系・アジア系の方々が
非常に多くみられました。あくまで現地組として。


ライブ自体は日本で行われた「ミクの日感謝祭」を下敷きにしており
構成も演奏も演出も、経験値を積んだ非常に完成度の高いものでした。
ただ、日本とは客席の反応が当然異なっていて、
僕が個人的にびっくりしたのは「ぽっぴっぽー」のときの
客席の異様な盛り上がりですねwww
「Nyan Cat」もそうですが、カワイイ電波系ソング
欧米できわめて突出して人気が出る傾向があるみたいです。
ちなみに僕の個人的なオススメは「ファインダー」ですね。
バンドが楽しんで演奏している感じがすごく伝わってくるいい演奏でした。


5:まとめると、ボーカロイドアメリカにおける受容の現状ってどうよ?


これは今回得るものが大きかった。
最後にこれを書いて終わりにしたい。


はい、まず第一に。
アメリカなどというものはない。

州ごと、エスニシティごとに大きく文化が違うので
ボカロが(初音ミクが)アメリカで人気がある、いや無い、
という議論をすることにあまり意味はないと思いました。


端的に言うと……
カリフォルニア州在住のアジア系の人々に人気がある」というのが客観的な現実なのではないでしょうか。


今回は色々と関係者筋と懇談の機会もあったのですが
やはり話を聞いていると、今回のミクライブにしても
アメリカのどの都市でも成功するというわけでは全くなく、
「ロスだから出来た」というのが実情のようです。


客を集められる大規模な人口と、未知のバーチャルシンガーを
受け入れられる進歩的な土地柄と、ミクの支持層であるアジア系市民。
これらが全部揃っている場所はロサンゼルスくらいです。


ニューヨークは保守的過ぎるし、ハワイは人口が少ないし、
サンディエゴではアジア系が少なすぎる。
ロスだからギリギリ出来たんです、ミクライブ


これは私たちが出演したパネルについても言えますね。
現地ではオタクと云えばコスプレ、というくらい
まずはキャラクター人気が全てに優先するので、
ミクの人気は楽曲以上に絶大です。
そんなミクのライブがロスでしか成り立たないのだから、
ボカロPが進出するとしたらロス以外だと厳しい気がします。
ZANEEDSはシアトルでも活躍しててすげーなって思うけど!w


でね、Anime Expoが終わってZANEEDSと一緒に
深夜のダウンタウンを歩いていたら、黒人のお兄さんと仲良くなったんです。
そのお兄さんはアニメが好きでですね、「NARUTO」がどうの
まどマギ」がどうの、それはもう楽しそうに語ってるんです。
でね、どこから来たのって聞いたら


「南部のルイジアナ州から来た」
ルイジアナには、アニメ友達がいない」


_(´・д・)_ ポツン…


まあねえ、確かになんか見るからに
寂しそうな兄ちゃんでした(兄ちゃんごめんね)


かつて綿花を摘みながら黒人の人々はブルースを歌ったと
音楽の教科書には書いてありましたが、
今や孤独はブルースではなくボカロで癒す時代なのかもしれません。
マイノリティ=非リア充、と考えると
ボカロは現代のブルース・ミュージックになりえるのかもしれない。
これ、けっこう真面目に思ってます。
もともと、ペンプロはアジアのブルース(非西洋音楽)という
コンセプトをずっと持ち続けて作曲してるとこあるしね。


そして、ZANEEDSがシンガポールで活動したりしてるように
アジア系の人の中で土地を問わずにボカロがブームになっている。
アジア、ハワイ、カリフォルニア。


今回、最後に僕の頭に残ったキーワードは
「ブルース」ともうひとつ「環太平洋」でした。


アメリカのロス」という発想ではなく
「環太平洋のロス」という発想のほうが
ボカロの広がり、受容の現状を正しく表現出来ているのではないか
と思います。


環太平洋のマイノリティ・ブルース、ボーカロイドその未来を垣間見た1週間の旅でした。


長文お目通し頂きありがとうございました。
読者の皆様がAX2011について知っていただき、
さらにボカロPの皆様が来年現地に行ってやろうと思ってくれたら
こんな嬉しいことはないです!

以上