あの日、背中を押してくれてありがとう-初音ミク10周年によせて-
こんばんは、うp主です。
初音ミク生誕10周年おめでとうございます。
心からの祝福と感謝を伝えたくて、久しぶりにこのブログを更新します。
今日は作曲家ではなく、ボカロPとして。
初音ミクが誕生したのは2007年8月31日。
当時、まだiPhoneは日本では発売されていませんでした。
リーマンショックも3.11も起きていませんでした。
僕は23歳の実家暮らしの大学生で、
一度失敗した音楽界での活躍のチャンスを
虎視眈々と伺っていました。
そんな時に初音ミクは僕の前に現れました。
これはいろんなインタビューとかで語ったことですが、
「彼女」はまさに「福音」でした。
ボーカリストがいなくても、作曲家が作曲家として
一人でも表現できるということに、
当時の僕がどれだけ救われたかわかりません。
しかも、初音ミクというアイコンの影響力によって
どんなに流行らないジャンル、マニアックな音楽でも
聴いてもらえるチャンスが生まれた。
「福音」という言葉は彼女のためにあると思います。
初音ミクという存在が生まれ、それを知った時、
作曲家として、クリエイターとしての僕の心に
「これなら必ず成功できる」という熱い確信が生まれました。
それから僕はボカロPとして活動を開始し、
ボカロアルバム3枚を発表しました。
中には10万再生を超える曲も生まれ、
多数のひとに歌ってみた、描いてみたなど
二次創作の輪を広げていただきました。
そう、初音ミクは、ひとりで音楽を作れるツールなのに、
なぜか初音ミクのおかげで僕はひとりじゃなくなりました。
気がつけばたくさんの仲間ができました。
ひとりで活躍する武器を与えてくれて、それだけじゃなく
さらに仲間まで与えてくれた。
なんて素晴らしいことでしょう。
なんて奇跡的な存在でしょう。
今では僕は子供の頃からの夢だったJ-POPの作曲家になりました。
正直、ボーカロイドを立ち上げることも少なくなりました。
仮歌さんと呼ばれるプロのシンガーさんに歌をお願いして、
アイドルやアーティストのために日々曲を作って提案しています。
でも、活躍する場所が変わっても、僕はいつまでもボカロPです。
最初にニコニコ動画に動画をupしたときの緊張感は
一生忘れることはないでしょう。
僕が書いたメロディーを最初に歌ってくれたのは初音ミクでした。
僕が書いた歌詞を最初に歌ってくれたのは初音ミクでした。
そのことも一生変わらない事実です。
10周年という節目を迎え、その間に社会もボカロ界隈も
音楽業界もテクノロジーも激変しました。
でもいつまでも音楽に対する愛情は変わらないし、
初音ミクに対する感謝と尊敬と愛情も変わりません。
僕が歩き始めることができたのは初音ミクのおかげです。
あの日、背中を押してくれてありがとう。
本当にありがとう。
そして、10周年おめでとうございます。
これからもボーカロイド技術、ボーカロイド文化と
それに関わるすべての人々のますますの発展をお祈りしつつ
私からのお祝いの挨拶とさせていただきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
2017.8.31
by ボカロP PENGUINS PROJECT
(a.k.a. 作曲家 ペンギンス)
南極大陸より愛を込めて。